閉じる
このページを一時保存する
保存されたページはありません

外来のご案内

歯科外来を受診される皆様へ

歯科治療で起こりうる診療行為合併症への対応について

 歯科治療では狭い口の中で様々な治療器具を使用しなければなりません。たとえばドリルを使ったり、熱した器材を使ったりしますが、注意しても口の中の粘膜やくちびるを損傷したり、やけどを起こしたりする場合があります。また小さな歯科医療器材を口の中で精密に調整しなければなりませんので、これらの医療器材が、のどや、さらにその奥へ入ってしまうこともあります。こうしたことは医療安全システムを整備し、個々の医療従事者が細心の注意を払っても絶対に起きないとは言えません(これを診療行為合併症と言います)。

 多くの歯科医療器材は、小さく、また唾液などに濡れることにより、非常に滑りやすくなっており、さらに患者さんのあごの動きや咳などによって、歯科器材などが喉の奥に入り込んでしまう場合があります(誤飲または誤嚥と言います)。いったん喉の奥へ入ったものはすぐに摘出することが難しいことが多く、反射的に飲み込んでしまう(嚥下反射と言います)ために、こうした歯科器材が不意に飲み込まれてしまう可能性があります。この歯科医療器材の誤飲・誤嚥は私たち医療スタッフが慎重に診療しても一定の確率(発生率は0.0037%(10万人あたり3.7人))で起きることであり、現在の医療水準で完全に防ぐことはできません。

 一般的には、これらをたとえ飲み込んだとしても、数日で便とともに排泄されることが多く、健康を害することはありません。しかし飲み込んだ材料が針であったり、先が尖っていたりすると、飲み込んだ先の胃や腸の中で粘膜に突き刺さりそこに穴を開けてしまう危険性があります。また気管の中に入ってしまった場合には、窒息や肺を傷つけてしまう危険性があります。したがって胸またはおなかのレントゲンを撮影して、その状態を確認して、内視鏡による摘出を行うか否かを検討しなければなりません。

 不幸にしてこれらの診療行為合併症が発生した場合には、本院はもちろんその治療に全力を尽くしますが、診療に伴って起きた避けられない事態ですので、その検査や処置などは健康保険を用いて行います。したがって皆さまには診療費用を請求させていただきます。

 私たちは皆様が安心して歯科治療を受けることが出来るよう精一杯の注意をして診療を行いますが、歯科治療に伴う診療行為の合併症発生を予防することには限界があることをご理解いただいた上で、歯科診療をお受けいただきますようお願いいたします。

 

 

 

 

新潟大学医歯学総合病院 

医療安全管理委員会歯科系安全管理検討専門部会

令和5年11月30日策定