造血・免疫細胞療法センター
部門のご案内
概要
造血・免疫細胞療法センターは、治療により一過性に高度の白血球減少となり感染の危険性が高い患者さんに、環境病原体に対する「防護環境」を提供するいわゆる「無菌室」を利用して、できるだけ感染を予防するための管理を目的として、1982年7月に設置された中央診療部門です。2022年から新しい細胞免疫療法であるCAR-T療法も開始しました。
主に健康なドナーさんから造血幹細胞を移植する同種造血幹細胞移植治療(骨髄移植、末梢血幹細胞移植または臍帯血移植)を受けた患者さんが 「無菌室」に入室しています。入室期間は、移植前処置(ドナーさんの造血幹細胞を生着させるための治療)をしてから移植後に白血球(好中球)が回復するまでの約1ヶ月から1ヶ月半程度の期間になります。
特色ある治療
血縁者をドナーさんとした同種造血幹細胞移植、日本骨髄バンク(提携海外バンクを含む)・臍帯血バンクを通して非血縁者をドナーさんとした同種造血幹細胞移植治療を提供することで、白血病や再生不良性貧血などの造血器疾患や小児悪性腫瘍の根治をめざしています。本院は日本造血細胞移植学会のカテゴリー1認定施設であり、骨髄非破壊的移植、HLA半合致移植などを含め、本邦で行われているすべての移植法に対応しており新潟県における造血細胞移植センターとしての機能を果たしています。また新潟県内はもちろん、全国の移植施設と協力して移植技術の改善に取り組んでいます。同種造血幹細胞移植を希望される方は主治医を通してご相談ください。当院では造血細胞移植コーディネーターを配置し、患者さんに迅速に移植が行われるよう日本骨髄バンク、臍帯血バンクとの調整を行っています。
同種造血幹細胞移植は、抗がん剤や放射線照射を用いた前処置による身体の負担・合併症の管理、一時的に白血球が減って感染に対する抵抗力が非常に低下してしまった状態のサポート、さらには回復したドナー細胞の免疫反応によって発症するGVHD(移植片対宿主病)のコントロールなど、特殊な病態管理が重要な医療です。医師、歯科医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士が協力して造血幹細胞移植療法に取り組んでいます。
外来では認定看護師による造血幹細胞移植後療養外来を開設し、移植を受けた患者さんの長期的な生活をサポートしています。
CARーT療法は、患者さん自身から採取されたリンパ球(T細胞)を用いて、遺伝子改変技術を用いてキメラ抗原受容体(CAR)を導入し、患者さん由来のリンパ球を腫瘍に対して攻撃できるようにする細胞免疫療法です。現在新潟県内では唯一実施可能な施設となっています。CAR-T療法を希望される患者さんは主治医を通してご相談ください。
主要機器
Class100の無菌室を3床設置しています。病床は、フィル夕一処理された清潔空気の層流が形成されることで、空気中の病原体(特に真菌(かび)胞子)が原因の呼吸器感染・肺炎の予防に有効な部屋となっています。無菌病床には洗面・トイレ、テレビ・ビデオが備え付けとなっています(下記WEBサイトには写真も載せてあります参考にしてください)。無菌室は比較的広いスペースを確保してあり、小児の患者さんについては、親御さんも一緒に寝泊まりしていただくことも可能です。状態が安定した患者さんに対しては積極的なリハビリテーションを行っており、エアロバイクや談話スペースを設けています。最近の移植件数の増加に伴い、自家移植や白血球回復の早い移植法を用いる患者さんに対する移植は一般病棟の無菌病室で行うこともあります。
CAR-T療法に用いる細胞調整は輸血・再生・細胞治療センターのCPCで厳密な管理のもと行っています。