新人研修について
新潟大学医歯学総合病院薬剤部では、新人研修に関して、以下の目的・目標を掲げ、人材育成に取り組んでいます。
新人研修の期間としては、約6カ月間を目安していますが、その後も、調剤室、薬品管理室での業務のほか、服薬指導を中心とした病棟業務やチーム活動を早期に経験し、臨床能力を備えた総合力の高い薬剤師の育成を目指しています。
また、新人薬剤師にとってよりよい研修・環境とするために、部内に新人教育検討班を設置し、研修内容の見直しや新人が抱える問題を解決するための取り組みを行っています。
新人研修における目的・一般目標
〈 目的 〉
薬剤部(薬剤部員)、薬剤師、
そして社会人として求められる基礎的な知識や技能を習得する
〈 一般目標(GIO)〉
[薬剤部員として]
・各部署の内規について、その理論的根拠を理解し実践できる。
・日直業務内容を理解し、正確で迅速な調剤業務が行える。
・医薬品に関する医療安全管埋を理解し、問題が生じた場合に対策を検討できる。
[薬剤師として]
・院内採用薬の基本的な医薬品情報(薬効分類、製品名・一般名、通常用量など)を理解し説明できる。
・特にハイリスク薬に関しては、基本的な医薬品情報に関連する検査値、副作用、副作用対処などまで理解し説明できる。
・他職種/他部署との関わりを理解している。
[社会人として]
・就業上のルールを理解する。
・接遇/マナーを理解する。
・上司への相談/報告が正確に行える。
新人研修年間スケジュール(例)
新人研修は、以下の3つのステップに分けて、進んでいきます。
各ステップ終了時には、習得度を確認し、研修の目標が達成できているか評価します。
主な研修内容 | |
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新人研修前半 (入職3ヶ月) |
・オリエンテーション(数日間) ・調剤室と薬品管理室にて調剤基本業務の研修 ・製剤室にてTPN調製、院内製剤の研修 ・病棟薬剤業務室にて院内抗がん剤調製の研修 |
研修前半 終了時 | ・研修部署にて習得度を評価 →調剤印の押印を許可し、日直研修を開始 |
新人研修後半 (入職6ヶ月) |
・調剤室、薬品管理室をローテーションし研修 ・定期的にミキシング業務に入り研修を行う ・持参薬や初回面談などを中心とした病棟業務研修 ・日直研修 |
研修後半 終了時 | ・研修全体の習得度を評価 → 各部署へ配属、日直業務を開始 |
夜勤研修 (入職10ヵ月) |
・業務理解度について筆記試験を実施し、夜勤開始可否を判断 ・夜勤業務内容についての講義、研修 |
2年目4月~ | ・夜勤業務を開始 |
新人研修とその後の配属予定
6カ月間の新人研修修了後は、3つの部署を1年かけてローテーションします。
配属する部署では、部署の一員として業務を行い、更に知識・技能を磨いていきます。
2年目10月以降に、本配属として薬剤部の各部署に配属されます。
新人研修とその後の目標
新人研修とその後の目標の概略を示しています。
新人研修で学んだことをベースにして、引き続き個々の薬剤師が目標を設定し、新たな知識・技術の習得に努めていきます。より高度な医療に貢献できる人材を薬剤部全体で育てていきます。
新人研修 薬学的知識に関する研修
学習を進めやすくするため、研修期間に学んでおくべき院内採用薬や疑義照会事例を提示します。自己学習を進めた後はWeb上で定期的に理解度のチェックを行います。チェックを終えてからは、先輩薬剤師が講義や解説を行うため、より理解を深めることが出来ます。
- STEP1医薬品集等で院内採用薬を学習
- STEP2定期的に理解度チェック
- STEP3先輩薬剤師によるフォロー・サポート
- STEP4知識面でのステップアップをサポート
その他の教育支援体制
日本病院薬剤師会 e-ラーニング受講費用の補助
若手薬剤師を対象とした受講費用補助制度があります。
広い分野の学習を進めることが出来るほか、認定薬剤師の単位取得に役立ちます。
各学会への出張参加
各学会へ参加を希望する場合、費用の補助があります。
メンター制度の導入
先輩のサポートにより、新人が疑問や脳みを抱えないような体制を目指しています。
教育環境
薬学教育研修室
薬剤部内に、新人薬剤師や実習生の控室として、薬学教育研修室を設置しています。休憩するスペースとしての利用だけでなく、講義やWeb会議にも利用しています。
研修室内はLAN環境を完備しています。
新人薬剤師・実習生が優先利用できるPCもあり、自己学習や研修の振り返りに活用できます。
新潟大学で契約している電子ジャーナルは
無料で閲覧・ダウンロードすることが可能です。
メンター制度について
当院薬剤部のメンター制度は、新人(メンティ)に対して「メンター」を複数名配置し、メンターが新人の業務上の課題解決の支援や職場内での精神的な悩みや問題について相談を受ける制度です。実際に導入した後のアンケート結果からは、新人にとって高い満足度が得られた他に、メンターを行う先輩薬剤師にとっても自身の振り返りや成長の機会になるなどの意見が挙がっています。
メンター制度の目的
メンターによる面談を通して新人に対する精神的なサポートを行うことで、研修を円滑に進めるとともに、新人が早期に職場環境に慣れることを目的とする。
体制と役割
新人薬剤師(メンティ)1名に対して、メンターを2名、ミドルを1名を配置します。
新人教育検討班とも連携し、メンティをサポートする体制を作っています。
[メンター薬剤師]
担当するメンティの悩みや問題について、レポートと面談を通して把握し、相談を受け支援します。日頃より相談しやすい環境を作り、メンティとの関係性を構築します。
[ミドル薬剤師]
主にメンターの相談役として、研修の進捗状況や面談の内容を確認します。
メンターとメンティの関係が良好に保たれるよう支援します。