通院治療室抗がん剤の副作用と
家庭でできる対策

1. 脱毛

すべての抗がん剤で脱毛が起こるわけではありません。
脱毛は、髪の毛だけではなく、まつげ、眉毛、鼻毛、体毛などにも生じます。
脱毛が起こる抗がん剤を使った場合、1回目の治療開始後、2~3週間で抜け始めます。

対策
皮膚は清潔に保ちましょう。いつも通り洗髪しても脱毛には影響しません。
脱毛中は、医療用ウィッグ(かつら)や帽子、バンダナを利用されている方が多いようです。購入に関してお困りのことがあれば、看護師に相談してください。

2. 吐き気・嘔吐・食欲不振

治療後に気持ちが悪くなったりして、吐いてしまうことがありますが、人によって症状はさまざまです。「治療=吐き気・嘔吐」というイメージをあまり強くもたないようにしましょう。

対策
吐き気や嘔吐がある場合には、食事を少量ずつに分け、食べられるときに食べやすいものを摂るようにしましょう。食事が摂れないときは、水分をこまめに摂りましょう。処方されている吐き気止めの薬以外にも症状に合わせて使用できる薬がある場合もあります。症状が強い場合は、医師、薬剤師、看護師に相談しましょう。

3. 感染症

血液は骨の中にある骨髄で作られ、血液成分のひとつに白血球があります。白血球は、病原菌から体を守る働きがありますが、治療のために白血球が少なくなり、風邪などの感染症を起こしやすくなることがあります。

対策
手洗いを心掛け、外出時は人ごみを避け、マスクをしましょう。38℃以上の高熱がでた場合は病院に連絡しましょう。

4. 出血

血液の成分のひとつである血小板も抗がん剤の影響で作られず少なくなります。血小板は、出血をしたとき血液を固める働きがあるため、血が止まりにくくなったり、出血しやすくなったりします。

対策
転ばないように気を付け、鼻を強くかみすぎないようにしましょう。歯ブラシはやわらかいものを使いましょう。

5. 下痢・便秘

治療後に下痢や便秘症状があらわれることがあります。

対策
下痢があるときは、消化の良いものを少量ずつ摂るようにしましょう。症状がひどくなると脱水症状などを起こすことがあるため、注意が必要です。1日4回以上の下痢があるときは病院に連絡しましょう。
便秘は、抗がん剤だけではなく、吐き気止めや痛み止めの薬などによっても起こります。水分を十分に摂ることや食事内容に気を付けることも大切ですが、下剤を内服しないとコントロールが難しい場合が多いです。適切に下剤を使用するようにしましょう。

6. 口内炎

抗がん剤が口の中の粘膜を刺激することで口内炎がおきます。また、白血球が減ると口の中の雑菌が増えるため、口内炎ができやすくなります。

対策
口の中を清潔に保つことが大切です。虫歯がある場合は、治療前に歯科治療を行ってください。口内炎があるときは、辛いものなど刺激の強い食事は避けましょう。

7. しびれ、筋肉痛

治療後に、しびれや関節痛が起こることがあります。
しびれは、症状が数日でおさまるものもありますが、治療を長く続けると日常生活に支障が出るような場合もあります。

対策
手足を温め、マッサージをすると血行が良くなり、症状が改善します。症状が強い場合は、医師、薬剤師、看護師に相談し、必要な場合は症状を抑える薬を内服しましょう。
筋肉痛は、治療数日後にあらわれます。痛む部分を温め、痛みが強い時は痛み止めの薬で対処しましょう。

8. 倦怠感

だるさや疲れやすさの原因はさまざまで、副作用による体力の消耗、不眠、精神的な原因などひとつではなく、いくつか重なって起こる場合があります。

対策
原因がはっきりしない場合は、ご自身のからだの変化を理解しましょう。治療期間中の体調は毎回全く同じではありませんが、だいたい同じような副作用が同じくらいの時期に出てきて、同じくらいの時期に落ち着きます。治療に伴うご自身の体調の変化をつかみ、その変化に合わせて生活を工夫していくようにしてみましょう。

■国立がんセンターHP / がん情報サービス
http://ganjoho.ncc.go.jp/public/index.html

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