病気について
脳の血管が破れる、または詰まることで起こる病気です。大きく分けて、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の3つがあります。脳の障害される部位に応じて、様々な症状が出現します。
脳卒中は、脳のどの部位が障害されるかで、出現する症状が決まります。代表的な症状として、意識が悪い、言葉が出てこない・理解できない(失語)、ろれつが回らない(構音障害)、手足の動きが悪い(麻痺) 、などがあります。
生活習慣病は、脳卒中の発症率を高めます。睡眠、食生活(特に減塩)、適度な運動、ストレスの軽減、などが重要です。また、飲酒、喫煙も、脳卒中の発症率を高めるため、減らすもしくはやめる、ことが重要です。
脳卒中は、主に脳外科、脳神経内科、を専門とする医師が担当しています。一部の病院では、脳外科と脳神経内科がチームを組み、脳卒中科として診療を行っています。これらを標榜しているクリニックや病院へお問い合わせいただき、受診してください。
お薬について
基本的にはずっと薬を飲まないといけないことが多いです。脳卒中に関連する薬は、抗血栓薬という血液をサラサラにする薬や、高血圧、高脂血症、糖尿病の薬など、多岐にわたります。特に、抗血栓薬は重要です。心房細動に対して抗血栓薬を飲んでいる場合は、1回のみ忘れただけでも、脳梗塞を起こす方がいます。主治医とよく相談しながら、治療を続けていくことが重要です。
リハビリテーションについて
脳卒中を発症すると、脳卒中を受け入れている急性期病院に入院し、治療を受けることが多いです。脳卒中の発症から約1~2か月までを「急性期」と呼び、この間のリハビリテーション(以下リハビリ)は、主に発症時に入院した病院で行います。急性期を過ぎたのち、発症から6か月までを「回復期」と呼び、この時期に、より集中的なリハビリテーションを行うことが重要です。回復期リハビリは、回復期のリハビリテーション(回復期リハビリ)を積極的に実施している病院で行います。
基本的には、急性期病院で脳卒中の治療をした後に、回復期リハビリを積極的に行っている病院に入院して、リハビリを行います。急性期病院から回復期リハビリを積極的に行っている病院への転院は、病院に在籍する医療ソーシャルワーカー(MSW)を中心に進めます。MSW以外にも、医師、看護師、リハビリスタッフなど、多職種で連携し、障害の部位や程度、自宅のある地域など、患者さんに合った方針を、みんなで考えます。
回復期リハビリを終えた後に、どのくらい障害が残ったかで、その後の生活を考えていきます。自宅に帰れるかどうかを、障害の程度のみならず、社会環境、自宅のある地域などから、総合的に考えます。自宅に帰る場合は、必要に応じて介護保険を申請し、介護度に応じて、介護サービス(デイサービス、訪問看護、訪問介護など)の調整を行います。介護サービスの調整は、ケアマネージャーと相談しながら、行います。これらのサービスは、地域によって違いや特色があるため、患者さんそれぞれに合った調整を行い、地域で支えることが重要です。
介護保険を用いて、訪問リハビリもしくは、通所リハビリで、リハビリを継続することができます。医療保険を用いて、病院で、リハビリを継続することもできます。基本的には、介護保険と医療保険の併用はできません。障害の程度に応じて、ケアマネージャーを含め、多職種で相談しながら、方針を決めていきます。
心臓病
心不全について
心臓のポンプ機能が低下することで、息切れやむくみなどの様々な症状が起こり、一度発症するとだんだんに悪くなり、命を縮める病気です。心不全の原因となる心臓の病気には、心筋梗塞、心筋症、心臓弁膜症、不整脈などがあります。
現在、日本を含む多くの先進国で心不全の患者さんが急増しており、「心不全パンデミック」と呼ばれています。高齢化に加えて、心筋梗塞や高血圧の治療成績が向上したことで、心不全として長く経過する方が増えているためです。一方で、心筋症や心筋炎、不整脈、先天性心疾患などが原因で、若い人でも心不全を発症することがあります。心不全は誰にでも起こりうる病気です。
高齢者に多い病気と思われがちですが、心筋症、先天性心疾患、重症の不整脈、薬剤やウイルスによる心筋炎などにより、若い方でも心不全になることがあります。症状を見逃さず、早めに診断・治療を受けることで、重症化を防ぐことができます。
階段や坂道を登る時の息切れ、靴紐を結ぶときの息苦しさ、就寝で悪化する呼吸困難感や咳、むくみや体重増加、などが主な症状です。疲れやすさや食欲低下を生じることもあります。
心不全の原因になる心臓病にならないために、高血圧や脂質異常症、糖尿病、肥満を予防することが重要です。そのためには減塩を意識する、適度に運動する、禁煙する、節酒する、ストレスをためないようにする、血圧や体重を意識することが大切です。
①心臓のポンプ機能が低下した原因を調べて治療すること、②ポンプ機能が落ちていたとしても心不全の症状が出ないように生活習慣を整えたり服薬したりすること、③それでも心不全の症状が出たら早めにかかりつけ医に相談すること、が必要です。
胸部レントゲン写真、心電図は、心臓の異常を調べる基本的な検査です。心臓のポンプ機能をみるには、心エコー(超音波)検査が行われ、循環器科を標榜するクリニックや病院の多くで受けられます。さらに心臓カテーテル検査が行われることもあります。
BNPやNT-proBNPという血液中のホルモンを測定することで、心不全の有無や重症度を推測できます。BNPが100 pg/mL以上あるいはNT-proBNPが300pg/mL以上なら心不全である可能性が高いです。
どちらも全身の臓器に影響を与える病気で、心臓にたまると心不全の原因になります。アミロイドーシスでは異常なタンパク質が、サルコイドーシスでは炎症細胞のかたまり(肉芽腫)が心筋に沈着し、心臓の動きを妨げます。専門的な診断と治療が必要です。
肺に血液を送る「肺動脈」の圧力が高くなる病気で、右心室に負担をかけます。初期は息切れだけのことが多く、進行すると動悸や失神が起こることもあります。早期診断と、専門施設での治療が大切です。
最近では医療の進歩により、多くの方が成人し、社会で活躍しています。ただし、成長とともに手術の後遺症や不整脈、心不全などが問題となることがあるため、成人後も専門医による定期的なフォローが重要です。
多くの心不全は薬や生活習慣の改善、ペースメーカーやカテーテル治療などでコントロールできますが、これらの治療でも症状が改善しない「末期心不全」では、心臓移植が治療の選択肢になることがあります。ただし、提供される心臓(ドナー)が限られているため、心臓移植を待つのに5年くらいかかります。
補助人工心臓(VAD)は、心臓の働きが非常に弱くなったときに、体に取りつけて血液を全身に送り出すポンプ型の医療機器です。心臓移植までの“つなぎ”として使われる場合が多いですが、移植ができない方にも長期治療として用いられることがあります。体外に電源をつなぐ必要があり、日常生活では感染予防や機器管理が重要になります。
虚血性心疾患について
虚血性心疾患とは、心臓に酸素や栄養を届ける冠動脈が狭くなったり詰まったりすることで、心筋が十分な血液を受け取れずに障害を受ける病気です。代表的な病気には「狭心症」と「心筋梗塞」があります。動脈硬化(血管の老化・硬化)が主な原因で、高血圧、糖尿病、喫煙、脂質異常症などがリスクになります。進行すると心不全や突然死を引き起こすこともあります。
どちらも心筋への血流が悪くなる病気ですが、程度と緊急性に違いがあります。狭心症は一時的に血流が不足する状態で、運動時やストレス時に胸の痛みが出て、安静にすると数分で改善します。一方、心筋梗塞は血管が完全に詰まり、心筋の一部が壊死してしまう状態です。安静にしていても強い胸痛が続き、命に関わる緊急疾患です。
代表的な症状は、胸の中央の締めつけられるような痛み(胸痛)です。左腕や肩、背中、あごなどに痛みが放散することもあります。冷や汗、吐き気、息切れ、めまいを伴うこともあり、特に高齢者や糖尿病のある方では典型的な痛みがないこともあります。違和感程度でも繰り返す場合は早めに医療機関を受診してください。今、現時点で、胸の中央の締めつけられるような痛みや左腕や肩、背中、あごなどに放散する痛みが持続しているのであれば、すぐに救急車を呼んでください。
主な原因は動脈硬化です。動脈硬化は、コレステロールなどが血管の内側にたまり、血管が狭くなったり硬くなったりする現象で、高血圧・糖尿病・脂質異常症・喫煙・ストレス・肥満・運動不足などの生活習慣が深く関わっています。加齢や遺伝的な体質もリスクを高めます。
まずは問診や身体診察を行い、心電図、胸部X線、心エコー検査などの基本検査が行われます。さらに診断が必要な場合、運動負荷心電図や心臓CT、心筋シンチグラフィー、冠動脈造影(心臓カテーテル検査)などで、冠動脈の状態を詳しく調べます。
薬物療法としては、血液を固まりにくくする抗血小板薬、血圧や心拍数を調整する薬、コレステロールを下げるスタチンなどがあります。血管が著しく狭い場合は、カテーテル治療(ステント留置)や、外科的な冠動脈バイパス手術が選択されることもあります。治療法は病状と患者さんの全身状態によって決まります。
禁煙、食事の見直し(塩分・脂肪の制限)、適度な運動(ウォーキングなど)、体重管理が基本です。また、ストレスをためない生活も重要です。薬の服用は医師の指示通りに行い、自己判断で中止しないようにしましょう。定期的な通院も忘れずに。
動脈硬化は一度進行すると完全には元に戻らないため、「再発予防=生活習慣の改善と薬物治療の継続」が鍵です。特に心筋梗塞後は再発のリスクが高いため、血圧・血糖・脂質の管理をしっかり行い、指導された薬をきちんと飲み続けることが重要です。
はい、特に女性では更年期以降にリスクが上がります。女性では典型的な胸痛が出にくいこともあるため注意が必要です。また、喫煙や糖尿病、高ストレスのある若年層でも虚血性心疾患が起こることがあります。
適切な治療と生活管理ができれば、多くの方が社会復帰・仕事復帰可能です。ただし、生活習慣の見直しや薬の継続が前提であり、再発防止のためにも定期的な受診と自己管理が欠かせません。
弁膜症について
心臓には血液の逆流を防ぐために4つの弁があります(大動脈弁・僧帽弁・三尖弁・肺動脈弁)。弁膜症とはこれらの弁が正常に開閉できず、血液の流れに支障をきたす病気です。「狭窄症(せまくなる)」と「閉鎖不全症(逆流する)」があり、重症になると心臓の負担が大きくなって心不全に至ることがあります。
初期には無症状のことも多いですが、進行すると息切れ(特に階段や坂道)、疲れやすさ、動悸、むくみ、胸の痛み、失神などが現れます。症状がある時は、弁の機能がかなり低下している場合が多く、早期の受診が重要です。
医師の聴診で心雑音を認めた場合、心エコー(超音波)検査で弁の動きや逆流の程度を調べます。必要に応じて、心臓CTや心臓カテーテル検査なども行われます。
最も多いのは加齢による弁の変性(特に大動脈弁や僧帽弁)。そのほか、リウマチ熱、感染性心内膜炎、先天性の弁異常、放射線治療の影響なども原因になります。
軽度〜中等度では経過観察が基本で、症状があれば薬物療法(利尿薬、血圧の薬など)を行います。重症の場合は、外科的な弁置換術や、カテーテルによる治療などの介入治療が必要です。
近年は手術やカテーテル治療の技術が進歩しており、安全性は高くなっています。患者さんの年齢や全身状態に応じて最適な治療法を選択できます。特に高齢者ではカテーテルによる治療など低侵襲の方法が選ばれることも多いです。
症状が出ている場合(息切れ・失神など)や、心エコーで心臓の機能が低下している場合は、たとえ症状が軽くても手術が推奨されることがあります。また、今後の悪化を防ぐために早期の手術が勧められることもあります。
はい、多くの方が術後数週間から数か月で日常生活に復帰できます。ただし、抗凝固薬の継続や定期的なフォローアップが必要です。特に機械弁を使用した場合は、生涯ワルファリンなどの服用が必要になります。
徐々に心臓の負担が増え、心不全が進行します。さらに、脳梗塞などの合併症を引き起こすこともあります。早期に発見し、必要に応じて治療を行うことで、重症化を防ぐことができます。
加齢による変性は完全には防げませんが、感染性心内膜炎の予防(歯の治療時などの抗菌薬予防)、高血圧や動脈硬化の管理、生活習慣病の予防などが弁膜症の進行を遅らせる可能性があります。
不整脈について
不整脈とは、心臓の拍動が「速すぎる(頻脈)」「遅すぎる(徐脈)」「不規則になる」状態を指します。脈が乱れることで、動悸、めまい、息切れ、失神などの症状を起こすことがあります。軽度なものから命に関わる重篤なものまで幅広く存在します。
大きく分けて次のような種類があります:
・心房細動:最も多い不整脈で、脳梗塞の原因にもなります
・心室頻拍・心室細動:突然死の原因にもなる重篤な不整脈
・上室性頻拍:突然始まって突然止まる動悸が特徴
・洞不全症候群・房室ブロック:脈が遅くなりすぎ、失神の原因になることも
症状や重症度に応じて治療方針が決まります。
以下のような症状がある場合は、不整脈の可能性があります:
・胸がドキドキする、バクバクする(動悸)
・脈が飛ぶ感じがする
・めまい、ふらつき
・息切れや疲れやすさ
・失神・意識を失う 特に突然の失神や意識消失は緊急性があるため、早めの受診が必要です。
不整脈の原因は様々で、以下のようなものが関与します:
・加齢
・高血圧、心臓病(心筋梗塞、弁膜症、心不全など)
・甲状腺疾患
・睡眠時無呼吸症候群
・アルコール・カフェイン・喫煙
・ストレスや過労
・先天的な異常
生活習慣の改善が予防や再発防止につながることもあります。
診断には以下のような検査を行います:
・心電図(12誘導心電図)
・ホルター心電図(24時間心電図)
・イベントレコーダー(症状時だけ記録)
・心エコー(超音波検査)
必要に応じて心臓CTや電気生理学的検査を行う場合もあります。症状が出ていないときは検査で見つかりにくいため、記録できる機器を使うこともあります。
不整脈の種類や症状、原因によって治療は異なります。主な治療法には以下のようなものがあります:
・薬物療法:抗不整脈薬、脈拍調整薬、抗凝固薬など
・カテーテルアブレーション:不整脈の原因となる異常な電気の流れを焼灼して治療します
・ペースメーカー:脈が遅くなる不整脈に対して、心拍を補う機器を体内に植え込みます
・植込み型除細動器(ICD):致死性の不整脈に対して電気ショックで命を守る装置
心房細動は、心房が小刻みに震えることで脳梗塞や心不全のリスクが高まる不整脈です。以下の点に注意してください:
・血液サラサラの薬(抗凝固薬)を継続的に服用すること
・脈拍や心電図の定期的な確認
・血圧、体重の自己管理
・禁煙・節酒・運動などの生活改善
症状がない場合でも、治療の継続が重要です。自己判断で薬を中止しないようにしましょう。
不整脈のタイプや重症度によりますが、多くの方は治療により日常生活や仕事に復帰できます。ただし、運動や飲酒、入浴などについては医師の指示を守りましょう。定期的な受診と自己管理が大切です。
不整脈の予防・再発防止には以下のような取り組みが有効です:
・禁煙、節酒
・ストレスをためない生活
・睡眠の質を保つ(睡眠時無呼吸の治療も含む)
・塩分・脂肪のとりすぎに注意した食生活
・規則正しい生活リズム
・高血圧、糖尿病、脂質異常症の管理
お薬について
基本的には一生薬を飲まないといけないことが多いです。心臓病の治療には多種多様な薬の併用が必要となる場合が多いです。調子がよくても、お薬をやめると症状が悪くなります。薬の中には飲んですぐに効果を実感できるものもありますが、すぐには効果を実感できなくても長期で良好な状態を保つことを期待する薬もあります。
高血圧は動脈硬化を進行させ、脳卒中や心臓病の危険性が高くなります。降圧薬を開始することが望ましいです。また、高血圧は減塩や適度な運動、減量、禁煙など生活習慣を改善することで、血圧も安定してくることがあります。その場合には薬を減量することができるかもしれませんが、自己判断で薬を中止することは危険ですので、主治医の先生とご相談ください。
血液サラサラの薬は、心房細動による脳梗塞の予防目的に内服していただきます。心房細動の患者様で高齢の方、心臓病や脳梗塞の既往のある方、高血圧や糖尿病のある方は脳梗塞のリスクが高く、血液サラサラの薬の適応になることが多いです。薬の中止が可能か否かは、個々の場合で異なりますので、必ず主治医の先生にご相談ください。
心臓リハビリテーションについて
心臓リハビリテーションは狭い意味では運動療法をさしますが、病気自体の治療と並行して行うことで、心臓だけでなく全身の機能を高め、心臓病の再発を予防して快適に長生きできることを目指します。
運動の頻度は、週3~5回。運動時間は、ストレッチなどの準部運動が5~10分、主となる歩行や自転車こぎの有酸素運動が20~40分、整理体操が5~10分です。また、筋力トレーニングも適宜行います。
心臓リハビリテーションの対象となる疾患は心筋梗塞、狭心症、心臓手術後、大血管疾患(大動脈解離、解離性大動脈瘤)、慢性心不全、末梢動脈閉塞疾患、経カテーテル的大動脈弁置換術後です。これらの病気の既往がある患者様は、医師の処方のもとで心臓リハビリテーションを受けることができます。ただし、心臓リハビリテーションを提供している医療機関は限られていますので、入院中または通院中の主治医の先生にご相談ください。
脳心センターについて
脳卒中・心臓病で悩みや不安を抱えている患者様やご家族の相談に対応します。
脳卒中や心臓病の一般的な情報提供、療養中の相談、治療と仕事や学業との両立についての相談などに対応します。 なお、医師による検査や診察を行うものではありません。相談員による一般的な情報提供や相談支援を行います。内容によっては医師や専門のスタッフと情報共有し、ご返答いたします。
