現場出動基準

新潟ドクターヘリでは、ドクターヘリの優れた機動性と迅速性を最大限に生かすことを目的に、救急隊の現着時の要請基準に加え、119番通報時のキーワード方式による要請基準を設定しています。キーワード方式とは119番通報時の通報内容に予め設定されたキーワードがあれば、直ちに出動要請となる方式です。
また、ドクターヘリ出動要請において、最終的にドクターヘリの要請が不要と判断された場合(オーバートリアージ)や出動途中で不要となった場合(キャンセル)のいずれにおいても、要請者は何ら責任を問われないことになっています。
広い県域を有する新潟県においては、ドクターヘリの現場到着まで時間を要する場合もあり、各消防機関には、直近の病院に搬送するよりも、ドクターヘリ要請のほうが処置や治療開始が速くなる場合はドクターヘリを要請するようにお願いしています。

119番通報受信時のドクターヘリ出動要請基準(キーワード方式)
消防本部は、119番通報の受信時に、以下の内容(キーワード)が含まれていた場合、ドクターヘリの出動を要請することができます。
想定事例 | 関連キーワード |
---|---|
病院外心停止 |
① 目前で突然に倒れ、蘇生処置中② 蘇生処置やAEDにより脈が戻ったが、意識や呼吸がない |
大動脈・虚血性心疾患 |
① 突然、ひどく、胸が締められる、押さえられる、苦しい
|
脳卒中 |
① 突然、鼾をかいて、意識がはっきりしない
|
窒息
|
① 突然、詰まらせた、息が出来ない、声が出ない
|
傷害事件 |
① 頭、首、胸、腹を撃たれた、刺された② 殴られて、意識がはっきりしない |
急性中毒環境障害 |
① 何かを飲んで、吸って、触れて、具合が悪い、意識がはっきりしない② 意識がなく、体がひどく冷たい(低体温)、熱い(熱中症) |
外傷
|
① 頭に傷があり、意識がはっきりしない
|
高エネルギー事故等 |
1.自動車事故
|
その他 |
救急(消防)司令担当者がドクターヘリを必要と判断したとき |
救急隊現着時のドクターヘリ出動要請基準
現場に到着した救急隊が以下の1~5の項目に該当すると判断した場合は、ドクターヘリの出動を要請することができます。
1.緊急性があること
2.医師による早期の診断と治療が必要であること
3.搬送時間の短縮が期待されること
4.傷病者の救命または後遺症の軽減が期待されること
5.その他
(1)多数の傷病者が発生した場合(概ね5人以上)
(2)オンラインMCで担当医師がドクターヘリの要請を指示した場合
現場出動の方式
1. ランデブーポイント方式
あらかじめ登録したランデブーポイントに着陸して、救急車と待ち合わせ合流します。

2. 医療クルー現場派遣方式
ランデブーポイントに着陸、救急車到着まで時間を要する場合に、支援隊により医療クルーを現場まで搬送して貰います。救出活動中や搬送途中の合流により、接触時間をより速くすることが可能です。

3. 現場直近方式
現場近くに着陸できるスペースを見つけ着陸します。接触時間が速くなりますが、周囲の状況により着陸出来ない場合もあり、ランデブーポイント方式に変更する場合もあります。着陸の最終判断は機長が行います。

診療開始と病院搬送
ランデブーポイント着陸後、フライトドクターとナースは速やかに救急車内に移動して診療を開始、その後、緊急度や重症度を考慮して受入病院を選定、ドクターヘリで搬送します。
受入病院にヘリポートがない場合は、病院近くのランデブーポイントに着陸、フライトドクターとナースが救急車に搭乗して、受入病院まで搬送します。