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HIV陽性男性とHIV陰性女性から生まれた児の発育調査

HIV陽性男性の精液からHIV RNA、DNAを完全除去した精子を用いた体外受精により出生した子どもの調査
  • 76組の夫婦で95名の児が出生
  • 男児:女児=0.54 : 0.46
  • 単胎66名、双胎13名、品胎1名
  • 76組のうち4組が2回目の出産
  • 76名の男性のうち14名が外国人であった

年次別の出生者数

発育の調査方法
  • 今まで出産した夫婦に電話またはメールで連絡し、連絡が取れた中で調査協力の同意が得られた家庭に調査票を郵送またはメールで送った。
  • 転居で連絡先が受診時から変更された家庭については調査を見送った。
発育調査項目

以下の身体発育および精神運動発達に関する調査を実施した。

  • 身体発育(出生時からの体重と身長の発育)
  • 精神運動発達について
  • 本研究班に参加して出産に至るまでの問題や、育児における問題点についても調査した。
精神運動発達の調査
日本発達障害支援学会の判定基準に基づき以下の調査を実施した。
7歳未満の子どもについて
  • 運動・体の発達
  • 言葉の発達
  • 認知・認識力の発達
7歳以上の子どもについて
  • 行動傾向の異常
  • 健康と医学ケアについて
  • 行動傾向について
  • 言語の発達
  • 数の発達
  • 運動機能の発達
  • 生活の発達(食事、排泄、着替えなどの生活習慣)
  • 仕事、作業の発達(作業学習や仕事における技能や態度、行動の発達)
結果
  • 出生体重の中央値(最小値~最大値)は2700g(571g~4442g)、妊娠期間の中央値(最小値~最大値)は39週(26.5~41.2週)であった。
  • 男女ともに身長、体重の発育は日本の平均を上回っていた。

女児の身長と体重の成長曲線(mean±SD)

男児の身長と体重の成長曲線(mean±SD)

精神運動発達について
7歳未満の子どもの発達
  • 運動・体の発達:全員で異常を認めていない。
  • 言葉の発達:全員で異常を認めていない。
  • 認知・認識力の発達:
  • 2歳の段階で自閉的傾向が2名認められた。
  • 6歳の1名で知的発育は進んでいるがアスペルガー疑いを指摘された。
7歳以上の子どもの発達
  • 行動傾向の異常:全員異常なし。
  • 健康と医学ケアについて:全員異常なし。
  • 行動傾向について:全員異常なし。
  • 言語の発達:全員異常なし。
  • 数の発達:全員異常なし。
  • 運動機能の発達:全員異常なし。
  • 生活の発達:全員異常なし。
  • 仕事、作業の発達:全員異常なし。
  • 母親の妊娠高血圧症のため1名が超未熟児で出生したが、2歳までにcatch up growthを示し、ほぼ年齢相当に発育してきた。未熟児網膜症もなく、身体所見に異常を認めていない。
  • 1名で心室中核欠損を認めたが、自然閉鎖している
HIV感染男性について
  • 2名のHIV感染血友病男性が死亡した
  • 1名はC型肝炎の悪化が原因
  • 1名はHIV腎症で人工透析となり、脳幹出血で死亡
本研究班に寄せられた要望
  • 回答者の60%から実施施設を増やしてほしいとの希望があった
  • 地方から慶應大学や新潟大学に通うのは金銭面と身体面で大変だった
  • 仕事の調整や交通費などの問題で、思うように参加できない場合もあった
  • 海外からの参加者も多く、受精卵凍結延長手続きなどの簡素化の要望があった
  • 地元の産婦人科で出産する時に受け入れに問題があった場合もあった
  • 将来子どもに体外受精に至った経緯を話すかどうかの悩みも寄せられた
夫婦の状況
  • 夫のHIV感染が判明して妻に告げる場合、ほとんどの男性が離婚を覚悟した
  • 夫婦で話し合い、子どもを持てたことで互いの信頼関係が回復し、育児に関しても夫婦や家族の協力が得られていることも報告された
まとめ
  • HIV陽性男性とHIV陰性女性から生まれた児に関して、身体発育は全国平均より良好であったが、自閉的傾向を示した児が3名おり、今後の追跡調査が必要である。
  • 抗HIV療法で血中ウィルス量が低く抑制されていても異性間における性交渉では2次感染の危険性が0.16[0.02–1.13、95%信頼区間]per 100 person-yearsあり、現段階では先進国においてはより安全な方法が推奨されている。
  • 挙児希望の場合、精液検査を行い、感染リスクを説明し、どの方法を選択するか相談すべきである。2010年10月以後受診し、抗HIV療法で血中HIV RNA<40copies/mlとなっている夫婦に危険率を説明した結果、全員がより安全な生殖補助医療を選択した。
HIV感染者の精子障害
  • HIV感染者の70%で精子障害が認められた
  • 精子数の減少
  • 精子運動率の低下
  • 精子の正常形態率の低下
  • 抗HIV剤内服群の方が無治療群に比較して精子運動率が低下していた。
  • 抗HIV剤によりミトコンドリア障害が生じる
  • ミトコンドリア障害が精子の運動率低下の原因となっている可能性について検討中

血中HIV RNA量が400copies/ml以下の時2次感染の危険性
:0.16[0.02–1.13、95%信頼区間]per 100 person-years

血中VLが低く抑制された場合の予測感染率(数学モデル)

  • 男性から女性:3~17%が感染
  • MSMでは28~83%が感染

(1000回の性交渉)

ARTの精子への影響

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