HOME > 体外受精-胚移植を希望される方へ

はじめに

この治療において重要なことは、治療を受けるご夫婦が本治療法の意義、治療の実際、治療に伴う有害事象、合併症などを十分理解していることです。また、奥様、ご主人それぞれ独立した意思のもとに行われることも重要であり、医師のみならず、専門のカウンセラーによるカウンセリングも重要であると判断しています。このため、事前に十分な時間をかけて、治療についての説明を行いますが、このような説明を受けた後も強く挙児を希望することを必須の条件としています。実施にあたっては、ご主人の健康状態に問題がなく、精液検査で無精子症ではないことが確認されたご夫婦を対象としています。

新潟大学医歯学総合病院産婦人科および荻窪病院において、十分な説明をさせていただきます。

治療までの流れ

図1 HIV陽性男性、陰性女性夫婦に対する体外受精-胚移植実施までの経緯

最初に荻窪病院血液科を受診していただきます。同院で、本治療についての説明を聞いていただき、ご主人の全身状態に問題のないこと、精子の状態に問題のないことなどを確認します。説明を聞いた上で、治療に対する希望が強い場合には新潟大学医歯学総合病院産婦人科を受診していただきます。(東京都の慶應大学病院産婦人科を受診していただくという選択肢もあります。)

新潟大学医歯学総合病院産婦人科で、さらに詳細な説明を行います。特に、体外受精-胚移植の実際について十分な説明を行います。この時に、奥様の感染症についての検査、生殖に関係するホルモンの検査、婦人科的診察(子宮頚がん検査も含む)などを行うことがあります。(これらの検査はお住まいの近くの産婦人科で行ってもらうことも可能です。)

十分な説明を聞いていただいた後お帰りいただき、ご夫婦でよく相談をしていただきます。その上でなお、治療についてのご希望がある場合、再度、新潟大学医歯学総合病院産婦人科を受診していただきます。本院のカウンセラーにより、再度ご夫婦個別に治療に対する意思が強いことの確認をさせていただき、同意書に署名捺印をしていただきます。同意書はご夫婦別々のものであり、一通は本院で保管し、一通は患者様で保管していただきます。

原則的には、この同意書に署名をいただいた日に、ご主人から精液を採取していただき、精液からHIVを除去する操作を開始します。操作を行った精液(精子浮遊液)は凍結して保存しておきます。

体外受精-胚移植の概略

奥様に対しては、通常の体外受精-胚移植で行われる排卵誘発を行います。具体的には、体外受精-胚移植の前の月経周期からGnRHアゴニストという薬を使用していただき、性腺刺激ホルモン(排卵を起こすために分泌されるホルモン)を抑制します。体外受精-胚移植を行う月経周期の2~3日目から排卵誘発剤であるFSH製剤により卵胞(卵巣の中にできる袋)刺激を開始します。その後、超音波断層法により定期的に卵胞の測定を行い、一定の大きさに達した時点でHCG製剤(卵子を成熟させるホルモン)を投与し、この後静脈麻酔下に採卵(卵子を得ること)を行います。

体外受精-胚移植による合併症、特に排卵誘発に伴う卵巣過剰刺激症候群、多胎妊娠の可能性、採卵に伴う合併症などについても事前に十分な説明を行います。

採卵当日および胚移植までのスケジュール

図2 HIV陽性男性、陰性女性夫婦に対する体外受精-胚移植のプロトコール

媒精(精子と卵子をともに培養すること)に用いる精子浮遊液中のHIVウイルスが高感度PCRにより測定感度以下であることを確認し、陽性の場合には媒精を行わないこととしています。(この高感度PCR検査は、HIVウイルスが1コピー存在する場合陽性になるように設定されています。)

培養した胚を2日後に奥様の子宮の中に移植します。この際にも培養液中のHIVウイルスの有無を高感度PCR法により検査し、測定感度以下である場合にのみ胚移植を行うこととしています。

その後妊娠成立あるいは次回月経発来まで管理し、その後HIV感染のないことを確認するためHIV検査を経時的に行うこととしています。

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