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うつ病とは

うつ病は、日本人の約15人に1人が一生に一度は経験するといわれ、誰にとっても非常に身近な病気です。男女別では、男性は約27人に1人、女性では約11人に1人が一生に一度は経験するとされ、女性は男性よりも約2.5倍うつ病を経験する頻度が高くなっています。しかし、「なぜうつ病が起こるか」という発症のメカニズムは、いまだよくわかっていません。遺伝要因、ストレス、生育・生活環境、身体的な要因、性格など多くの要因がいくつも関わっていると考えられています。世間では、「うつ病は甘えからくる」などといった誤解が根強く残っていますが、決してそうではありません。アメリカ精神医学会がまとめた精神疾患の診断基準(DSM-5)によると、うつ病では以下のような症状がおこります。

 

  • 気分の落ち込み
  • 何をしても楽しいと思えない
  • 食欲がなくなり体重が減る
  • 夜寝つけない、寝ついても目覚めてしまう
  • じっとしていられない、動作が遅くなる
  • 疲れやすい
  • 何でも悪いことは自分のせいにして責める
  • 考えたり集中したりできない
  • 自殺を考える

 

ただ、人によって症状は異なり、先ほどあげた症状の他にも、めまい、頭痛、口の渇きなどさまざまな身体症状を伴うことがあり、初めてこの病気になった方は、気分の落ち込みなどを自覚しにくく、身体の症状で気づく場合もあります。治療は、抗うつ薬を主体とした薬物療法、休養、カウンセリング(精神療法)を3本柱として行います。こうした基本的な治療で改善することも多いのですが、長期間治療を受けていても改善しない患者さんも少なくはありません。うつ病の治療は決して簡単とは言えないのです。

 

うつ病治療を難しくする原因

1.診断の問題点
うつ病には、患者さんごとに異なるさまざまな原因や状態があります。

 

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例えば、内因性うつ病は特に大きなきっかけもなく起こり、脳の伝達物質の働きが悪くなるとされていますが、CTやMRIなどの脳画像検査や血液検査からうつ病を診断することは出来ません。そのため、問診で得られた所見からうつ病を診断しています。

また、双極性障害(躁うつ病)でも、うつ病と同様に抑うつ状態を呈するため、躁状態が軽い場合や、躁状態に気づかれていない場合などもあり、うつ病との鑑別が難しい場合もあります。しかし、この2つの病気は治療法が全く異なるため、正確な診断が非常に重要となります。

 

この他にも、患者さんの性格やストレスが大きな原因となって抑うつ状態が起きる場合もあり、こうした場合では薬による治療が効きにくく、環境調節や精神療法が治療上大きな役割を果たすこともあります。 このように、うつ病といっても患者さんによって状態は異なるため、当施設では、まず患者さんがどのようなタイプの「うつ病」かを見極めるために詳しく問診を行い、その患者さんの背景や状態を明らかにすることを大切にしており、特に初診時には時間をかけて丁寧に問診を行います。

当施設は、世界中で広く用いられている最新の精神疾患の診断基準である「DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引」の翻訳に中心的に携わった専門医師がこの診断基準を用いて診断を行い、それぞれの患者さんにあった治療方針を決定しています。

 

2.治療の問題点  

「うつ病」と診断され、十分に休養をとって抗うつ薬を十分な量で十分な期間内服している患者さんの中にも、「難治性うつ病」「治療抵抗性うつ病」といって、抑うつ状態の改善が難しい患者さんが15~30%いると言われています。その中には、先程述べたように、例えば気分が良すぎる、しゃべりすぎる、活動しすぎるといった躁状態を経験したことのある双極性障害の患者さんが隠れていることもあります。双極性障害の抑うつ状態は、抗うつ薬が効きにくいといわれており、治療には工夫が必要ですが、当施設では精神科薬物治療の専門家が対応します。

 

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また最近では、性ホルモンの影響で抑うつ状態になる患者さんが多くいるのではないかという可能性が指摘されています。左の図のように、テストステロンという男性ホルモンは年々低下していきます。テストステロンが低下した中高年の男性において、気分の落ち込み、不安、不眠など多くの精神症状が出現する男性更年期障害(LOH症候群:加齢男性性腺機能低下症候群)が存在することがわかってきました。

日本泌尿器科学会・日本Men’s Health医学会「LOH症候群診療ガイドライン」検討ワーキング委員会 加齢男性性腺機能低下症候群診療の手引きより抜粋し改変

 

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テストステロンの低下は、うつ症状だけでなく、身体にも悪影響があり、筋力が低下したり、骨がもろくなったり、内臓脂肪やコレステロールが増えたり、糖尿病の発症にかかわるとも言われています。さらに、女性でもテストステロンが精神症状に影響している可能性もあります。

エストロゲンという女性ホルモンに関して言えば、月経周期、出産後、閉経前後(更年期)に関連して気分が落ち込む、イライラするといった経験をされたことがある方が多くいるように、これもまた精神症状と密接に関わっていると考えられます。

 

これらのことから、今までさまざまな抗うつ薬を試したけれども効果が乏しかった「難治性うつ病」「治療抵抗性うつ病」の患者さんの中には、性ホルモンの異常が隠れているかもしれません。そういった患者さんにはホルモンを補充することで症状が改善する可能性がありますので、当施設では積極的に性ホルモンの検査を行っています。 当施設は当院の産婦人科とも連携をとっており、適応がある患者さんには副作用を確認しながら性ホルモン補充療法を行います。また、繰り返す抑うつ状態や薬物治療では改善しない難治性のうつ病に対しては、修正型電気けいれん療法を行う場合もあります。

 

3.副作用・薬物相互作用の問題点  

当施設では患者さんの症状や背景、希望をできる限り考慮した上で外来治療か入院治療かを選択しています。薬物療法も患者さんに合わせて選択し、従来の抗うつ薬から新しい抗うつ薬、場合によっては抗不安薬や睡眠薬、気分安定薬、抗精神病薬等を併用することもあり、柔軟に対応しています。

 

抗うつ薬をはじめとした向精神薬には、その効果もさることながらさまざまな副作用があることが知られています。例えば、嘔気、嘔吐、便秘、下痢などの消化器症状から、眠気、口の渇き、性機能障害、手の震え、頭痛などさまざまな副作用があります。これらのように患者さんが自覚できる副作用もありますが、血液検査や心電図などの検査をしてみないとわからない副作用もあります。また、2種類以上の薬物を服用した際に、一方の薬剤の効果や副作用が強まったり弱まったりすることもあり(これを「薬物相互作用」と呼びます)、これにも注意しながら治療を行わなければなりません。どのような薬でどのような副作用が起きやすいのか、起きた場合の対処方法など、専門的な知識が必要になります。

 

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これまで当施設では、副作用や薬物相互作用について多くの研究を行いその成果をあげており、副作用に関して多くの知識をもった医師が治療にあたっています。よって、必要な患者さんに対しては、定期的に副作用を確認するための検査を行っています。

 

 

4.再発予防・維持療法の問題点  

うつ病は再発を繰り返す病気です。一度もとのように良くなったとしても、ストレスの有無に関わらず再発する可能性があります。この再発をなるべく減らし、良い状態を維持するために、うつ病が良くなったあとも一定期間は薬物療法が必要と考えられています。その期間や方法は人によって異なります。治療には専門的な知識が必要ですので決して自己判断で通院や服薬をやめず、まずは主治医に相談してください。

 

最後に

もしこのホームページをご覧になった患者さんやご家族の中に、「うつ病と診断されて治療を受けているけれど、何年も良くならない」「中高年になってから元気がなくなってきたようだ」「そもそもわたしの診断はうつ病で良いのだろうか」など、お困りのことがありましたら、ぜひ一度当施設の精神科外来を受診されることをおすすめします。まずは、お電話でご相談ください(精神科外来 025-227-2554、2555)。

 


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